2020年01月01日

令和2年 新年のご挨拶



 あけましておめでとうございます。
本年も皆様にとりまして良き年となりますことを祈念申し上げます。
 昨年末に予定していた托鉢を中止して皆様にご心配をかけました。
申し訳けありませんでした。
平勝寺の住職になって三十年、托鉢を続けましたが昨年末は急用が入り、托鉢を実行できませんでした。秋奉加をすでに納められた檀家さんのご祈祷は観音堂で勤めました。
 
そのような訳で年賀状には托鉢姿を描き、平仄を無視した五言二句を添えました。
 「西走亦奔東 杖頭為一喝」
 二句の意図するところは以下の通りです。
 私の日常は西に走り、また東に奔って、忙しそうにしていますが、錫杖の頭部についた遊環(ゆかん)が私に喝を入れています。シャリ、シャリ(捨離)と。

 こころが忙しいのは、私に附属する所有物が多すぎるからなのでしょう。
本来無一物なので、所有物を捨離すればこころ穏やかになる筈ですが、私はできていません。
 釈尊のあとを継いだ摩訶迦葉尊者は「頭陀行(ずだぎょう)第一」と讃えられました。頭陀行とは、衣食住の貪りを捨て、粗末な糞掃衣を纏って人里離れた静かな林に独り住み、乞食によって得た僅かな食だけで生活することです。

 社会が複雑になればなるほど作成する書類が増え、法律も細かくなり、手続きに融通がきかなくなり、損得や他人の行動が気になるようです。
公平な社会を実現しようと皆が考え、現在の社会を作り上げたので一概に間違いだとは言いませんが、なにか息苦しさを感じます。
 摩訶迦葉尊者の尊い日常生活を一気に真似ることはできませんが、「捨離」の一句を今年の目標とします。
2020.01.01 一道  


Posted by 一道 at 15:29Comments(1)