2008年12月16日

酸性雨観測 ( 『曹洞宗報』12月号に掲載分を転記 )





「観測を通して」  

愛知県 第1宗務所 第659番 平勝寺  佐藤一道

 私は第1次酸性雨観測の途中からこの活動に参加しました。それは平成12年5月のことでした。前任教区長さんであった中島良忠老師から酸性雨観測寺院の業務を引き継ぐように要請されたからです。
 観測は教区長の仕事の一部なのだと自分を納得させ、しぶしぶ承知しました。主体的に取り組んでいなかった私にとって観測は苦痛でした。雨が降りそうになれば、あわてて観測容器を屋外に設置したり、風で吹き飛ばされないよう容器を固定するのは、思ったより面倒な作業でした。
 毎月1日から10日まで雨に対する心配をしていたので10日が過ぎればホッとしたものです。

 観測地(平勝寺)は、名古屋から車で約一時間、足助町からさらに急な坂道を20分ほど登った山里です。標高は520m、木々に囲まれた静かな環境です。
 観測の第1回目の結果を見るまで、私はつぎのように考えていました。
「この地域は緑豊かな環境なので、酸性雨は降らないだろう。よいpH値をだして、足助はこんなによい環境だとアッピールしよう」と。

 しかし、第1回目の結果はpH5.2でした。pH5.6以下の雨を酸性雨と呼ぶと聞いて驚きました。
 その後、何度も酸性雨が降りました。鈍感な私でも環境汚染問題に関心を払わざるを得ませんでした。

 平成16年7月に、自分から第2次酸性雨観測寺院に応募しました。
 手元にちょうど平成17年10月から平成18年9月までの観測結果があります。この地は全国平均のpH集計結果とほぼ同じ曲線を描き、0.1か0.2ほど酸性に偏っていました。身近なところに木々はありますが、大気は名古屋等の工業地帯と直結していることが、はっきりわかりました。
 
 第1次と第2次では測定方法が違いました。
 第1次はパックテストでpHを測定しました。第2次はpHメータを使用して測定しました。
 私が使用したpHメータは数値が安定せず、ときには7以上になったりしました。規則違反ですが、私はパックテストを利用し「比色表」によりpHを決めていました。
 
平成18年と19年の7月には雨水の成分内容を分析(高感度分析)するための雨水サンプルを所定の機関に送りました。

このような活動を通して、私自身の環境に対する意識が向上したことが最も大きな成果だと思いました。
  


Posted by 一道 at 16:41Comments(0)